老人になると痩せ細り食べる量が減る、健康障害のリスクが高まる

いつも感じる事がある。横浜の街中を歩いていると多くの老人たちを見かける。ほとんどが、70歳以上の方々のようだ。その印象は、痩せ細っている体から来る。全員が痩せた体つきとは言えないが、力強さは感じない。老人になると自然に体が痩せてくるのだろうか?

素朴な疑問である。私自身、67歳のシニアだが10年後、20年後には痩せ細ってしまうのだろうか。私は週2回から3回スポーツジムで筋トレをやっている。お腹の周りに皮下と内臓脂肪があるためかスッキリした感じがない。おへその周辺が贅肉でちょっと膨らんでいる。

60歳、70歳でダイエットをしたいと思っている老人たちも多い。私の知人で75歳ぐらいの男性は誰が見ても超肥満体である。自分の体が重くて歩いては一休みである。体全体が痩せていく傾向はないが、体の中の筋肉が確実に痩せていっているのが分かる。

老人で痩せている人も太っている人も共通している老化現象は「体の筋肉が失われていっている!」ということである。体から筋肉が失っていくと姿勢が悪くなり、猫背で歩く老人が増える。筋肉の量があるポイントを超えて減ると歩行障害が始まる。動物は歩けなくなったら死ぬ。獲物を捕らえることができなくなり餓死する。

人間も死ぬまでの時間差はあるが死のリスクを高める。

老人になるとどんな変化が体に起きるのか?

今年の2月に人間ドックを受けた。身長を測ってもらったら、1.5センチほど身長が短くなっていた。181センチあったのに179.5センチとでた。間違いでは無いかと思い、もう一度測ってもらったが数字は変わらなかった。看護婦さんからは、179.5センチでも十分身長は高いですよ!と言われてしまった。

後でネット検索をして調べたら、老いて来ると自然に背骨の椎間板の水分が減って身長を低くすると書いてあった。あと、朝と夜とでは身長が普通の成人で2センチほど違うという。夜長時間横になって寝ていると身長が2センチほど伸びるそうだ。体重が朝1キロぐらい減るのと同じかもしれない。寝ている内に水分が体から汗となって出ていき体重が減少する。 

老いて来ると体に色々な変化が起きてくる。顕著な変化は体がやせ細ってくることである。自分で調べない限り誰もその理由を教えてくれない。体が痩せ細る理由は、1つに食事の量が少なくなり、タンパク質を取らなくなり、筋肉が減少するからだという。2つ目に活動量や運動量の減少で筋肉をあまり使わなくなり筋肉を失う。体作りは十分な食物エネルギーの取得と体を動かす運動に起因する。 

70歳を過ぎて自分の体が痩せてきたら、危ない!

体が痩せるプロセスはこんな感じで始まる。

  1. 食べる量が減る
  2. 体や筋肉を刺激する活動量が減る
  3. 体を楽にする生活をする

シニアは普通の生活をしていても毎年1%筋肉を失っていく。その理由が上記の3項目に起因する。毎日定期的な活動があり、体を動かしているシニアであれば、食欲は維持できている。活動量が減る日常生活をしている老人は多くの活動エネルギーを必要としないため食べる量が少なくなる。

食べる量が減ってくると体全体の生命エネルギーの量(新陳代謝)も減ってくる。それが体の筋肉を減少させる。体は必要以上の筋肉を維持していかない。体に優しい、楽な生活を続けていると自然に体から筋肉が消えていく。同時に体重も減って行く。

低体重のシニアは低栄養状態になりやすい。栄養バランスが取れている食事を維持できなければ、十分な栄養を体に取り入れられない。偏った栄養と食事で体は低栄養状態になる。その結果、自宅で転倒して骨折をしたり、誤嚥性肺炎になったりする。

シニアが低栄養状態で骨折をすると入院する。入院してベッド生活を始めると体全体の筋肉がますます減る。病院を退院できても自分で歩くことが出来なくなる。私の義母のように病菌から退院と同時に老健施設に入居することになる。ここまで来ると自宅にはもう帰られない。次のステップは老健施設から老人ホームになるからだ。

歩行器か、車椅子の生活を老人ホームですることになる。終の棲家は自宅ではなく老人ホームになる。

老人の体が痩せていくのを予防する対策

老人は食べる量と体を動かす運動量の減少で筋肉の量が全体的に失われる。これが原因で体が老いて行く過程で痩せ細っていく。この自然現象に対してどのような対策が出来るか? 

体を枯れさせないためには

  1. 食欲や筋肉を増やす筋トレで運動量を増やす
  2. タンパク質を意識的に多く取る食事をする

運動する上で体に支障がない高齢者ならば、筋肉トレーニングをする習慣を身に付ける事である。筋肉トレーニングをやり始めると自然に体がエネルギーを求め始める。それでお腹が空き始める。徐々に食事の量が増えて行く。ご飯を沢山食べるよりも肉、魚、豆類などのタンパク質を沢山食べることで筋肉が体に戻りやすくなる。

高齢者が筋肉トレーニングを始める時は無理をしないで自分の体調に合った重量で開始する。一番良い方法はスポーツセンターでトレーナーによる筋肉トレーニングの指導を受ける事である。正しい運動のやり方とその運動の持続が一番重要だからだ。 

筋肉トレーニングは若ければ若いほどその効果が後々まで続く。体に筋肉が付いていれば自分の体を動かす上で負担が少なくなる。特に足の筋肉を鍛えれば杖や車椅子の生活はなくなる。筋肉トレで翌日に筋肉痛を感じる程度までやるのが目安になる。

筋トレの効果は筋肉を増やすだけでなく食事量も増やし、成長ホルモンを分泌させ、免疫力も高める。猫背も体全体の筋肉を増やすことで改善される。ただ、時間はかかる。若者と同じとは行かない。

筋トレは姿勢も良くし、筋肉も骨も丈夫にする

老人になるともう一つ気になる事は「骨粗鬆症」(こつそしょうしょう)である。骨粗鬆症は女性に多いと言われる。 筋肉を鍛えると骨も鍛えられる。骨と筋肉はお互いに依存し合っているからだ。骨が体を支え、筋肉が体を動かす。筋肉が増えれば骨もそれに合わせて強度が増す。

いずれにしても老人になると食が細くなる事が原因である。生きて行く上でのエネルギー量が少なくなれば、体もそれに従う。食べる量を増やす事だが、栄養学的にバランスを考えた食事でなければならない。特にタンパク質の量が老人にとって欠けているのでそれを意識した食事をするしかない。

老人の体を作り直す方法

細くなった体を筋肉で太らせるには、こんなステップで体を作り直すこと。

  1. 毎日の運動量を増やして食欲を出させる
  2. 大きな筋肉を刺激する運動(足のスクワット、階段の上り下り、腕立て伏せなど)を翌日筋肉痛が起こる程度行う
  3. 筋肉を普段以上使うことで体がお腹を空かす。運動後に30分以内にヨーグルトかバナナを食べる事
  4. 食欲が出たら朝昼晩に魚、肉、納豆と野菜サラダなどをたくさん食べる
  5. これを3か月間続ければ体に良い変化が生まれ、その変化を自覚できるようになる
  6. 毎日運動をする時は必ず翌日、翌々日に筋肉痛を感じる事が目安だ。筋肉痛がない運動は効果がない!
  7. 定期的な運動をとにかく続けることが最も重要!

枯れていく老人の体に筋肉を戻すには(1)良く食べて、(2)良く運動する。体を活発に動かす定期的な運動をすることで食欲は増える。食べる時に気にすることは筋肉の材料になるタンパク質の多い食事をすることである。1年間、この2つを続けることで筋肉が体に戻ってくる。

 

70歳を過ぎると健康障害のリスクが増える。そのリスクを軽減するためにも定期的な運動は効果がある。体と脳は使わないと衰えていく。活発に日頃から動いて生活をしているシニアは健康である。

痩せ細って枯れて行く老人の姿を見て

健康的で元気に見える老人が多い。元気な老人は毎日外出して歩き回っている。横浜駅周辺の商店街や地下街の通りを見ればそれが分かる。町中を歩き回っている老人の多くは太っている人よりも痩せ細っている人が多く見受けられる。

男性よりも女性が多い。健康寿命の点で女性が男性を超えているからだ。元気な老婦人たちの姿を見ると顔も足も体全体も痩せている。強い風が吹けば一瞬で飛ばされるような感じがある。元気よく活発に歩ける老人とゆっくりとヨロヨロしながら歩く老人がいる。

体を毎日動かしている老人は体全体から生命エネルギーを発している。それが何故か分かる。老人の歩き方で健康状態が分かる感じがする。後ろから見てふらつくようなゆっくりとした歩き方をしている老人は確実に筋肉を失っている。体も痩せ細っている。

結論

無理をしない運動を心がける。老人の無理な運動は後遺症が後でひどくなる。一番重要なことは、継続して運動を続けることである。食事はタンパク質がたくさん取れる肉、魚、大豆類を毎食食べる。ビタミンやミネラルは健康食品で補足する。シニアに不足がちな亜鉛、カルシウム、マグネシウムなどは意識して毎日身体に取り入れること。

筋トレを続けないと筋肉が身体から失われる。筋肉があるポイントまで失われるとフレイルになる。自分の身体を自由に動かせなくなる。歩行が難しくなったら棺桶に一歩足が入った状態だ。早く死にたくないならば、筋トレとタンパク質が多い食事である。