海外に移住して老後を楽しもうというシニアがいる。2017年の移住先ランキングで1位がマレーシア、2位タイ、3位ハワイとなっている。共通の魅力は、治安が良いこと、ビザ取得が得やすいこと、親日国家であることだ。マレーシアは、11年間連続して1位を維持している。それぞれの国での生活で求めるニーズによってメリットとディメリットが見えてくる。
でも、シニアの海外移住先は世界情勢で大きく変化する。最終的に日本で生活するのが一番となる。
老後の移住を斡旋するサービス会社は、良い点だけを強調する。悪い点はあまり開示しない。どの国にも生活の上でリスクが有る。リスクを調べ上げてから、試験的に1ヶ月ぐらい生活をしてみる。現地で実際に移住した老人たちと交流して実際の生活を知ることが一番重要だ。
こんなリスクを考慮して移住先を検討する
生活費が安いから、年金だけで暮らしていけるから、というお金面での魅力で移住を決めるのはリスクが高い。
マレーシアは日本の物価の三分の一ぐらいで生活が出来ると言われる。タイも五分の一から三分の一ぐらいの物価だそうだ。ただ、クアラルンプールやバンコクなどでは、もっと物価が高い。住む場所によって相当変わってくるようだ。
仮にマレーシアに移住しょうとするならば、年金だけの収入では先々無理が出てくる。国家が発展途上国から成長し始めると自然と物価は高くなる。これはタイでもインドネシアでも同じだ。年金の支給金額は年々下がっていく。移住先の国の物価は年々上がっていく。
生活費が安いから移住するという動機づけは危ない!
親日で治安が良いから老後の生活をハワイで過ごしたいというシニア夫婦もこんなリスクを忘れてはいけない。
ハワイは、日本と同じぐらい生活費がかかる。年金生活は無理だ。経済的に余裕があるシニア夫婦向けである。移住するには、グリーンカードを取得する必要がある。トランプ政権で米国への移住が難しくなっている。政権が変わる度に現地の生活環境に大きく影響する。ハワイは、むしろ、観光ビザ期間で楽しめる範囲に留める場所である。
移住先の政権が安定しているならば、良いのだが今の世の中は大きな変化が世界中で起きている。マレーシアにしてもタイにしても米国ハワイにしても政権次第で天国が地獄になる可能性がある。自分の老後を海外でゆっくり末永く生活が出来ると信じないことだ。移住した理由が安易な理由である場合は、ちょっとした変化で魅力が消えてしまう場合がある。
グリーンカード(有効期間10年)を取得しても政権次第でグリーンカードの更新が出来なくなるかもしれない。年数が過ぎるに従ってその国の事情が移住者に影響する。
親日国家であっても突然反日になる可能性もある。日本との外交で問題が起きれば、親日国家であってもそのポリシーを変更せざるを得ない。老後の移住を考える時は、数年単位で日本に戻っても生活が出来るように体制を整えておくことが重要だ。移住先の国家におんぶにだっこはありえない。老後は移住ではなくロングバケーション程度で良いのではないだろうか。
海外で生活経験がないシニアの海外移住はお勧めではない!
移住を考えている国での生活経験があるならば、肌で移住が良いか、良くないかが分かるはず。シニアはあらゆる面で弱者になっている。特にお金が少ないシニアは他国に行っても状況はあまり変わらない。日本と同じ生活環境を求められないし、想定もしない出来事が必ず起きる。知らないことが多すぎる。
海外での生活経験がないシニアはまずは1週間ぐらい現地に滞在してみる。旅行という感覚ではなく、現地生活を学ぶと意味合いである。それでOKならば、今度は数カ月間現地に滞在してみる。数カ月間滞在して現地の生活環境に慣れたらば滞在期間を半年から1年にしてみる。
私は若い頃米国の州立大学に4年間留学していた。そこで学んだことは最初の2年間は学ぶことが楽しく、良い点しか目に入らなかった。3年目から現地の生活で悪い点が大きく感じ始めた。4年目には日本と米国での良さであまり違いを感じなくなっていた。
現地生活を長く経験しないと本当に海外移住が自分にあっているかどうかはわからない。数年かけて希望の移住先を肌で検証すべきである。経済面だけで判断するのは賢くない。移住先の国では自分が外人として扱われる。異国で快適な生活体験を味わいたければ、ロングバージョンをするという意味合いで考えたほうが良い。
結論
- 生活費が安い、親日国家である、移住ビザ取得しやすい、治安が良いなどの理由だけで老後の移住先を決めている
- マレーシア、タイ、ハワイが人気だがリスクを良く勉強してから移住先を決めること(現地の移住者と交流する)
- 10年先のリスク分析が重要。生活費は高くなる。親日から反日になるかも。移住ビザの更新が出来なくなるリスクも有る。