シニアが心の中にあるものを吐き出すときはどんな時か?

第三金曜日に開催される経営者のビジネス勉強会に参加した。もう、この勉強会に参加して7年ぐらいになる。メンバーは顔なじみになっている。いつも参加する人、時々、顔を出す人、様々だ。このビジネス勉強会のメンバーは、60歳代が中心でいつも20名前後が集まっている。午後5時から始まって午後6時30分に終わる。その後、希望者による懇親会が近くの居酒屋で行われる。ほとんどの参加者が懇親会にやってくる。

昨日は、10月度の勉強会と懇親会があった。いつも、一人で仕事をカフェの中でやっていると話をする相手がいない。月1度の勉強会と懇親会でお酒の力を借りて心の中に埋もれた思いを吐き出す良い機会になっている。

シニア男性はお酒の力を借りないと心の中の本音を吐き出さない

65歳になり起業に挑戦しているシニア男性がメンバーになっている。会社員時代の仕事のやり方と違って全て自分でやらないと何も始まらない。勉強会のメンバーの支援や助言を受けてビジネス交流会に参加し、営業活動をしている。彼の口から出てくることは、起業は時間がかかるという事だ。若者と違い、シニアは元の会社で社畜化されている。その社畜化されたものの考え方を一度取り崩して起業家として再構築するのに時間がかかるのだという。

懇親会でお酒を飲むと本音が出る

懇親会の席では、お酒の力を借りて心の奥底で感じている事、悩んでいる事が浮上してくる。あと1年で会社を卒業するシニア男性がいる。彼はまだ次のキャリアを定めきれないでいる。自分の専門分野(特許関連)は、市場が広がって行かない。大学で教鞭をと思っていても少子化で学生が空くなって行く。教師は削減されて行く。そんな状況で今自分は何をしたら良いのかと酒の席で相談を受ける。

彼は、もともとITエンジニアである。会社の都合で特許関連の部署で退職まで仕事をすることになっている。特許の専門知識と教育に興味を持っているが、再就職の市場が厳しい状況になっている。私からの助言は、IT分野の市場は人手不足であるので特許xITx教育の切り口で再就職先を探すか、個人事業者となって自分がやりたい仕事で起業するかの選択をあと1年の内にすべきだと話した。

起業の場合は、1年ぐらいの助走が必要だ。会社員でいられるうちに副業で起業に挑戦したほうが経験値を身に付けるという意味合いで良いと話した。どっち道、最後は起業による仕事しか残らない。特別な事情やスキルが無い限り誰も老人を積極的に再雇用しない。

自分がやりたい仕事があるならば、その分野で起業準備をするべきだ。会社は副業に文句を言わない。どっちみちあと1年で会社を卒業する社員だからだ。会社を気にせず会社以外でお金を稼ぐ経験を今から挑戦すべきだと強く助言した。

こんな話は、酒の席でないと話せない。お互いに本音が出やすい雰囲気が必要だからだ。会議室で面談で本音は出ない。本音は感情に乗って出てくる。酒が入り皆好きな事を大声でしゃべりだす雰囲気が、人をリラックスさせる。月に1度の酒の席、私はここで人恋しさを癒している。一人でビジネスをする場合、特にインターネットで仕事をする場合は話し相手がサーバー機器になる。人間ではない。

私にとってこの勉強会と懇親会は心の憩いの場所になっている。顔見知りのメンバーと心の奥底に溜まっている見えないヘドロを吐き出す場所だ。懇親会は勉強会に必須だ。顔見知りと仲良く馬鹿なおしゃべりをする。おしゃべりと言うよりは好きな事を大声で叫んでいる。叫ぶことでストレスが発散される。

参加者はみな自分のシニアライフを手探りで探している。60歳を過ぎて会社を卒業するシニア男性は、不安な将来を酒の席で口に出し始める。60歳を過ぎれば、皆と同じライフスタイルを迎えることはない。65歳になると将来の不安がピークになる。誰も助けてくれない。自分でこの障害を乗り越えなければならない。