シニアの常識は非常識?

横浜界隈で見かける若い人たちとの接点は姿を見かけるだけ。交流する接点が無い68歳のシニア男性である。唯一の接点はカフェでコーヒーを注文するときにちょっと会話するぐらいである。若い人たちとの会話がないと彼らの常識がなんであるかが十分理解できない時がある。

ただ、世の中は知らないうちに私の常識を書き換えている。昭和の時代に身に付いた常識が令和の時代では非常識になっている。身の回りの現象や変化に目を向けるだけでそれが分かる。老いて来ると自分の常識が通じない世界に入って行く。常識の違いに驚く。

社会とのつながりが薄れる生活に入るシニアは社会の常識がアップデートされないままこの世界に留まる。

常識の違いに驚く事

横浜駅周辺を歩いていると多くの若者たちとすれ違う。彼らの右手には必ずスマホが握られている。スマホを見ながら歩いている女性も多い。私のスマホはリュックの中にある。いつも手に握ってスマホを見るという習慣はない。歩きスマホもない。

駅の階段をスマホを見ながら降りて行く女性を見てあきれた。そんな女性の後を下りて行きたくないと思った。スマホなしでは生きて行けないという若者が多い。昭和の時代にはそんな物はなかった。昨日、テレビを見たら男性が口紅を付けるCMに驚いた。芸能人がメイクアップをするのは理解できるが、一般消費者向けのCMで男性が口紅を付けるプロモーションには違和感を感じた。

「KATE(ケイト)」の口紅「リップモンスター」の新CM、男が口紅を付ける!

実際のCMを見て戴ければ、私の驚きを理解できる。

このCMで若い男性が口紅を付け始めるかどうか。男性の女性化が進んでいる。鳥の世界ではオス鳥が美しい。メス鳥の気を引くために色で目立たせている。人間も同じ方向に行くのだろうか。こんなCMが登場する事に驚いている。

髪を染めてイアリングや入れ墨をした若者が穴あきジーンズで歩き回る

ヒッピーの時代がまたやって来たのかと感じた。今の若者はヒッピーについて知らない。そんな若者が髪を染めてイアリングや入れ墨をしてぼろぼろの穴あきジーンズをはいている姿は頂けない。染めている色が赤、青、黄色などの原色である。表現の自由はあるが、スタイリッシュであるとは思わない。

若い女性がへそ出しルックで歩いている姿はどうなんだろうか。米国に留学していた時は大学のキャンパスでよくそんな女性を目にしていた。違和感はなく、セクシーであった。米国女性はへそ出しが日本人女性よりも大胆であった。

女子高校生の超ミニスカートはシニア男性の目を引き付ける。下着が見えても気にしないのだろうかといつも思っている。確かに長い脚を見せつける。足に自信がある女子高校生が多いのかもしれない。それとも、女子高校生の間での流行なのか。皆がやっているから私もという感じかもしれない。

喫茶店やカフェに気楽に入る子供たち

私が高校生の頃、喫茶店は大人だけが利用する場所という認識があった。今は小学生も中学生も気楽にカフェでドリンクを買っている。小中学生は長居をしないが、時々、学校の宿題をやっているのを見かける。高校生や大学生になると一般の大人と同じような利用をしている。コーヒーやフラッペドリンクを飲みながら食事もする。カフェはもう年齢を気にさせない場所になっている。

若い親が子供を連れてカフェに来るためかもしれない。カフェが子供にとって身近に感じるのだろう。私は両親と喫茶店に入った記憶がない。

子供にスマホを持たせる親

幼児にスマホを持たせてゲームをやらせている若い親がいる。小学生の子供がどこにいるのかを知るためにスマホを持たせている親もいる。中学生になると仲間外れにさせないためにスマホを子供に買ってあげている親が多い。スマホは子供の頃から身近な電子端末になっている。子供にしてみればスマホは玩具である。

私の子供がスマホを使い始めたのは大学生になってからである。スマホが社会の中で普通のように使われ始めた時期である。スマホは高価でお金がかかる。そんなスマホを子供に買い与えている親に驚く。

テレビと新聞を見ない若者たち

 テレビと新聞を見ない若者が増えている。彼らはスマホでYoutubeを見ている。情報は全てSNSから得ている。テレビや新聞は必ずしも生活で必要としていない。今の若者は情報を得る選択肢が沢山ある。60歳代のシニアはテレビと新聞で情報を得るのが当たり前という時代で育った。

スマホがあれば、テレビも新聞も必要なくなる。その上、若者はスマホの使い方を良く知っている。少年ジャンプ、マガジン、サンデーで漫画を見てきた私たちとは違ってスマホで漫画を楽しんでいる。紙から液晶画面の端末で情報を得るのが今の若者である。

電車の中を観察すると99%以上の人がスマホを見ている。雑誌、漫画本、新聞、文庫本などを読んでいる人を見つけるのが難しい。

トイレが男女共用になる

コンビニでトイレを借りると男女共用になる。トイレのスペースでどうしてもそうなる。最近、多様性の問題でトイレが男女共用になる傾向が出てきている。小便用トイレ器が無くなり洋式トイレで座って済ませることになる。トイレを探して見つけたら、入り口に男、女の識別サインがない。ただ、トイレと書いてある。

性別を意識ない多様性の時代に驚く。

レストランにメニューがなく、QRコードだけ

下北沢駅近くにある「チョップスティックス下北沢店」(ベトナム料理店)に夫婦で食べに行った時である。テーブル席にメニューが置いていない。周りを見てもメニューらしき物が無い。テーブルの上にはQRコードを印刷した紙だけが置かれていた。

スマホでQRコードを読んでウエブページのレストランメニューを表示させねばならなかった。スマホを持っていないシニアは完全にアウト。支払いもQRコードをセルフ端末にかざして行う。若い人でなければ、ついていけない。こんなお店でビジネスが成り立つのだろうかと思ったが、若い人たちが多い下北沢であるので問題はないらしい。効率と人件費節約を狙った仕組みである。

スマホを持っているという前提で外食をするのが当たり前なのかもしれない。私たちシニアは現金払いが当たり前。今やその常識が変わっている。クレジットカード、電子キャッシュなどキャッシュレス決済が当たり前になってきている。

キャッシュレス決済手段は現金ほど広く使えない。現金しか受け付けないレストランや居酒屋もある。ただ、時代の常識は電子キャッシュに向かっている。会社給与の振り込みも電子キャッシュになるという。

LINEアプリを使えないと仲間外れ

今や奥様方との連絡方法がLINEグループチャットになってしまった。昔は電話連絡で仲間に伝えていた作業がLINEグループチャットにメッセージを一度投稿するだけで全員に伝わる。家族もLINEグループチャットを使って連絡をするのが当たり前になっている。

スマホとLINEアプリが使えないと連絡網から漏れてしまう時代である。時代の常識は電話、Eメール、そして、LINEのようなメッセージツールに移っている。コミュニケーション手段の常識がスマホとインターネットの登場で急激に変わってしまった。

LINEアプリのメッセージ投稿は電話やメールにない本人既読が分かる点で優れている。LINEを使っていない人はこのメリットが分からない。時代の常識は便利な手段に移っている。

イヤフォンはワイヤレスで音楽を聴きながらも電話の受話器にもなる

若い人はワイヤレスイヤホンをいつも耳に入れている。音楽を聴きながら歩いている。電話がスマホにかかって来ると自動的にイヤホンが受話器になる。スマホを持ち出して応答をしない。それが当たり前になりつつある。シニアはイヤホンをしながら歩くことは無い。

耳にイヤホンをしながら電話に応答すると周りの目を気にする。独り言を言っていると思われるからだ。音楽を聴くならば昔ながらのイヤホンをスマホに差して聞く。ワイヤレスイヤホンの使い方を知らない。私は仕事でウエブ会議をする。その時役に立つのがワイヤレスイヤホンである。Bluetooth接続で10メートル離れた場所でも音声が届く。普通のイヤホンは1メートルも届かない。

電話も音楽もワイヤレスイヤホンで聞くという時代になった。

結論

65歳代のシニア男性と20歳代の若者たちでは認識する常識に違いが生まれている。シニアは時代の流れについて行けていないために自分の価値観や古い知識にしがみつく。若い人たちとの接点が少なくなり、若者たちの間で何が起きているのか分からない。

インターネット社会に入り切れていないシニアは世の中で言われる「エゴサーチ」なんて言葉も行為も分からない。本は本屋よりもアマゾンで探した方が早いという常識も分からない。男が女性のように口紅を付ける時代が来る。男性の女性化が進み多様性という言葉が社会生活の上で重要になる。

68歳になるシニア男性の私は戸惑う。夫が赤ちゃんをおんぶして母親が手ぶらで歩く姿。夫婦共働きでないと暮らしにゆとりが生まれない社会。専業主婦になりたいと望んでいる若い女性。結婚する前に同棲するのが当たり前の若いカップル。婚姻届けだけを先にして結婚式は後にするという考え方。

時代の常識は時代を作り出す若者たちによって書き換えられる。

 

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