握力で自分の体力がわかる

60歳を過ぎると健康に目が行き始める。体力低下を肌で感じ始めるからだ。時々、運動イベントで体力測定を無料でやっている。イベントでは体力測定で握力検査をしている。握力がなぜ体力を測定する指標になるのだろうか。

握力は体の他の筋力と相関関係が強く、全身の筋力を表す指標になる。握力が低下しているシニアは脚力の低下や歩行能力の低下の可能性があり、全身の筋力が強いかやや不足しているかを評価するのに1番簡単な方法になる。

60歳代の標準握力は34キロから41キロになる。もし、34キロ以下であれば体の筋力が衰えているということになる。

なぜ、「握力」?

歩く速度と平衡感覚は高齢者の運動能力を判断する上で良く言われている。意外であったのは握力である。高齢者は定期的な筋力トレーニングをしていないと筋肉の量が減少する。当然、その影響は握力にも反映される。

性別の握力評価基準表データ

 
握力の評価基準表    
(kg)    
男性    
年齢              低い       やや低い        標準            高い        かなり高い    
18 - 29        - 36        37 - 43        44 - 51        52 - 58        59 -    
30 - 39        - 35        36 - 42        43 - 50        51 - 57        58 -    
40 - 49        - 33        34 - 40        41 - 48        49 - 55        56 -    
50 - 59        - 30        31 - 37        38 - 45        46 - 52        53 -    
60 -         - 26        27 - 33       34 - 41      42 - 48         49 -    

女性    
年齢              低い       やや低い        標準            高い        かなり高い    
18 - 29        - 20        21 - 26        27 - 33        34 - 39        40 -    
30 - 39        - 19        20 - 25        26 - 32        33 - 38        39 -    
40 - 49        - 18        19 - 24        25 - 31        32 - 37        38 -    
50 - 59        - 16        17 - 22        23 - 29        30 - 35        36 -    
60 -             - 13        14 - 19       20 - 26        27 - 32       33 -    
(財)健康・体力づくり事業財団:
   健康指導支援プログラム開発及び健康運動支援に関するシンポジウム開催事業報告書、1993

60歳以上の高齢者は男性標準で34 - 41キロ以上ないと危ない。女性は、20 - 26。この数字以下のシニアは体全体の筋力も落ちているので筋力トレーニングをする必要がある。

握力を増強するトレーニング

「ペットボトル回転運動」・・・両手にペットボトルを持って前に伸ばし、ゆっくりと内側へ手首を回転する

「雑巾しぼり運動」・・・・・・タオルなどを雑巾に見立てて絞っていく

「タオルにぎにぎ運動」・・・・タオルの両端を持って握り締めては離す

「耳鼻つまみ運動」・・・・・・右手で鼻をつまむと同時に左手で右耳をつまむ

「グーチョキパー運動」・・・・両手で交互にグー、チョキ、パーを出す

「高く高く握りこぶし運動・・・両腕をまっすぐ伸ばし、交互に握り拳をつくって高く掲げる

これらの運動を10回1セットとして3セット毎日行う。毎日できなければ、とにかく継続してこのような運動を行う。

筋肉を増やすには

一人で行うのは相当の強い意志がないと続かないので近くのスポーツセンターに定期的に出かけて健康運動教室に参加する。一緒に運動する仲間がいれば、定期的に運動をする動機づけになる。握力が標準より低い人は体力が落ちているので筋力トレーニングを中心に運動するしかない。

運動する前にたんぱく質を含んだバナナ、牛乳などを食べておくと運動後にたんぱく質合成が起こり、成長ホルモンが分泌され筋肉が作られる。

つまり、筋肉を増やすには、筋肉を作る栄養素(たんぱく質の食べ物)を運動の前後に体内に入れておく必要がある。これをやらないと筋肉の量が増えて行かない。

これからの高齢者は出来るだけ長く健康で生活が出来るよう定期的な筋肉運動が要求される。筋肉の衰えは介護される状態になる前の予兆である。街中をよろよろと歩く老人を見かけると思う。原因は筋肉の衰えと損失である。足の筋肉が一番先に筋肉の衰えを表す。

歩くことが不自由にならないためにシニアは今から筋トレを習慣にする生活を送る必要がある。筋肉を増やすには定期的な筋トレとタンパク質豊富な食事、そして、十分な睡眠である。今の体力を握力検査で知ることが老後の健康を維持する上で目安になる。

結論

老後の生活を快適に過ごすには体力維持が重要になる。今の体力を知るために握力検査が役に立つ。握力は全身の筋力と相関関係があるので自分の体力が標準なのか、衰えているのかを見る上で良い指標になる。多くのシニアは体力不足に陥っている。その理由は定期的な運動をしていないためである。特に筋肉増強の筋トレをしていないため体から筋肉が失われて行く。

握力検査から自分の体力を知ることで余生の生活を改善することになる。