転倒で骨折し、介護ベッドに寝たきりになる老人が多い。介護ベッドの上では体を動かす活動が殆どない。当然、食欲もなくなる。もう一度普通の生活に戻るには、脚力を含め体力を戻すリハビリ運動をしなければならない。
ただ、寝たきり状態が長くなると老人の様態が不安定になる。元気で良く食べる時と食欲がなく寝てばかりいる時がある。徐々に食事を取る回数が減って行き、水だけを飲む生活が続く。これが1週間以上続けば、完全に老人の体は枯れていく。体の栄養が口から取れないため、体にある肉や脂肪を分解して生命エネルギーに変え始める。
体重が毎月減少してい行き、あるポイントで寝ている時間が殆どになる。長く起きているだけのエネルギーが体に残っていないためだ。
食欲がある老人と食欲がない老人では生命エネルギーが違う!
家内の両親がきわどい老後の生活を送っている。義母が介護ベッド生活である。体力が落ちて脚力が衰えもともと少食であった食欲も減少している。自宅に居る時は、ほとんど寝ている時間が多い。そのため、週3回ほとんど強制的にデイサービス施設に送り出している。
食欲を出させる
デイサービス施設で1日過ごしてくると色々な刺激で食欲が出てくる。自宅に居るとそれがないため、食事がまともに取れていない。1日1食、酷い日は何も食べないで水だけを飲んでいる。そんな日は、体力が落ちてリハビリトレーナーが来る日が無駄になる。リハビリが出来る体力がなくなっているからだ。
この状態を見て、老人は3食口から食べ物を取ることの重要性を感じた。食欲旺盛な93歳の義父は、普通の生活が出来ている。良く食べて良くお酒を飲む老人は生命エネルギーが強い。
食欲がないと老衰に向かう
1泊2日で家内の実家に滞在して義母の介護をしてきたのだが、食欲が無いため水しか飲めていない。この3日間あまり食事らしい食事が取れていないと言う。食事を出しても積極的に食べようとしないのだ。起きている時間より寝ている時間が多い。
この状態が1週間以上続けば、確実に老衰の状態に入ってしまう。既に枯れてきている体から必要な生命維持エネルギーを取ることが出来なくなれば、内臓の機能が弱体化する。それが引き金になって意識を失い衰弱して行く。
今の義母の状態は死と隣合わせの生活をしている状態。本人は今の状態を認識していても食欲がわかない、気持ち悪い、お腹が痛いと言って食べ物を口にしないのだ。人間にはどうしようも出来ない運命というものがあるのだろう。ひょっとして、今の状態は義母の運命なのだろうか。
今はデイサービスで取れない食事を取って頂いて周りの仲間と一緒に生きる楽しみを味わってもらいたいと思っている。自宅で意識的に食事を取る前向きな姿勢が必要なのだが、お腹が空いていないから食べないと言われると無理やり口に食べ物を入れさせることも出来ない。
生きるには食べる事が基本!
食べることを止めた時点で限りなく死に向かう。自分でコントロール出来ないならば、それが運命であると受け止めるしか無いのだろうか。体の検査をしても気持ち悪い、お腹が痛い、食欲が無いという原因を突き止められない。
義父は昨夜家内と私と三人で「すき焼き」料理を楽しんだ。上等な牛肉を買ってきてお腹一杯皆で食べたのだ。食欲旺盛の義父と食べない義母。あまりにもコントラストが有りすぎる。来週月曜日に再度家内の実家に介護支援に行く。
以前のような食欲に戻ってくれれば、介護する側も気が楽になる。老人は少食になってはいけない。生きて行くためのエネルギーを口から取り込みそのエネルギーを使う。体を動かす運動は食欲を旺盛にする。食べるのが先なのか、運動するのが先なのかを問われれば、私は「食べるのが先だ!」と叫ぶ。
義母が自宅から老健施設に入居して奇跡が起こる
2021年10月現在、義母の状態は200%改善された。自宅介護から老健施設での生活に移ってから2年以上が経過した。老健施設でのリハビリが彼女を老衰状態から普通の体に戻している。介護ベッド生活から始まって今では杖で歩けるほど回復している。
バランスが取れた食事で体重も33キロから46キロぐらいまで増えた。もう、枯れていた前の義母の姿はそこにはない。老健施設での生活が自宅での生活より快適だからだ。おしゃべりをする入居者がいる共同生活で色々な刺激を受けている。
結論
在宅介護は義母のように健康状態を悪化させる。老健施設への入居が可能な環境にいる老人ならば、できるだけ早く老健施設への入居申請をオススメする。まずは担当のケアマネジャーと相談してみる。