シニア起業家は、事前にビジネスプランを立てるのだがビジネスが上手く行かない時の撤退プランが無い。これは若者も同様。私を含めて起業時には自分のビジネスアイデアに惚れ込んで絶対成功すると信じている。情熱が先に走ってしまうため、上手く立ち上がらない場合の撤退プランを考えていない。
私の場合は幸運にもビジネスが初年度から上手く立ち上がってしまったので撤退プランを考える必要が無かった。今思えば怖い話である。会社員は自分でお金を稼いだ経験が無いため、起業は複数回の失敗と試行錯誤をして失敗からビジネスの本質を学ぶ場合が多い。
元会社員が起業をするとき、失敗経験が成功への近道であるということを経験していない。頭の中や知識としてそのことを認識しているが、自分のビジネスは大丈夫だから失敗しないと惚れ込んでいる。野球のバッターには2回までやり直しがある。起業も複数回挑戦できる余裕とプランが必要だ。
撤退プランがなぜ必要なのか?
起業して16年が経過している。若者やシニアの起業を横目で眺めながら彼らのビジネスプランに撤退プランが無いのが気がかりである。初めての起業は失敗する確率が非常に高い。それ故、撤退するタイミングが重要になる。起業家は最初から成功すると思い込んでいる。現実は成功よりも失敗が多い。自分は違うと思い続けながら、失敗する起業家がなんと多いことか。
一度や二度の失敗は当たり前という認識でビジネスプランを立てる
ビジネスプランは一度や二度の失敗を含めたプランにすべきである。失敗から自分に欠けている物が見えてくる。このビジネスは失敗だと判断する基準をプランの中で決めておく。撤退するタイミングが次回の挑戦に影響する。
シニアだけでなく若い者も一度や二度の失敗で失う運転資金の額を事前に予算化する必要がある。その予算でどれだけの期間、ビジネスを展開し続けるかを決める。通常、起業家が新規ビジネスを立ち上げる時、1年間続けるべきか、止めるべきかを判断する。
1年間の運転資金プラス生活費を予算化する。一度失敗して次の起業に向けて挑戦するには、起業資金をいつまでに貯められるかだ。最初のビジネスプランで運転資金を2つに分ける。1000万円手元にお金があるならば、最初の試みに300万円の運転資金プラス1年間の生活費を予算化する。
最初の試みで成功すれば良し。多くは失敗するので第二弾の試みを準備する。手元に残る資金700万円を使って再度挑戦することになるが、すぐに始めない。しばらくクール期間を作り冷静に次の挑戦に備える。他社で働いて次の起業で同じ間違いをしないための改善施策を考えながら再挑戦のための資金を貯める。起業は資金があれば何度でも挑戦できる。
ビジネスを撤退するタイミング
シニアには寿命という時間制限がある。若者はその制限が無い。ただ、最初の起業で深い傷を負わなければだ。深い傷とは借金である。借金が多額であると返済するために時間と労働が取られる。次の起業に挑戦する時期が遅れる。
最初の起業で借金をして始めたり、借金をしてビジネスを続けたりすると上手く行かなかった時に経済的な深い傷を負う。シニア起業は借金をしないで始めるのが大前提であり、借金でビジネスを続けるべきではない。最初のビジネスで運転資金が続かなくなる前に撤退することを大前提にしてシニア起業をプランすべきである。
初めての起業は資金計画で失敗する。用意した運転資金が足りなくなってビジネスが止めざるを得なくなる場合が多い。大きなチャンスを前にして運転資金が続かなくて諦めざるを得なかったという事例も多い。そんな時に無理をして借金をする。それが裏目に出れば、深い傷を起業家は負う。
ビジネスを撤退させる時期は運転資金があと1ヶ月で無くなるという時である。ビジネスの撤退で1ヶ月ぐらいの時間と費用が発生する。起業家初心者は借金を抱えないでビジネスを終えるプランをちゃんと考えておくことが必須である。借金が無ければ、次の起業に向けて資金を貯めやすくなる。始める時期も早まる。
若者が始める起業は失敗の経験値を積むビジネスプランと失敗の経験値を生かす次のビジネスプランがないとだめである。次のビジネスプランは最初の失敗を経験しないと作れない。起業に挑戦する時はビジネスの運転資金を2つに分けて必ず次の再挑戦の資金を残しておくことが必須。
最初のビジネスが1年経過しても立ち上がらなければ、躊躇無く撤退をするという強い意志が求められる。そして、次の起業を準備する。そんな姿勢が最初からあると失敗を恐れなくなる。次の挑戦で成功させれば良いという安堵感と残っている運転資金で生活に困ることが無い。
生活に困る経済状況で起業と再起業は始められないし、続けられない。
結論
シニアが起業するときは必ずビジネスプランに撤退するタイミングと状況を入れておくことである。起業で失敗経験がないと借金をしてまでも立ち上がらないビジネスにお金を投資し続けてしまい、最終的に深い負債を負うことになる。シニアには負債を返済して再起業するまでの時間が残されていない。
起業は1度2度の失敗から成功するためのヒントを得る。それを前提にして運転資金の分配をして上手く行かないビジネスに深入りをしないように計画をする。シニア起業はビジネスの撤退プランがないと再起が難しい。