65歳、70歳過ぎに再び仕事探しをして働き始める理由はどこにあるのか?

65歳で引退をして年金生活に入っていた高齢者の知人が再び働き始めるために職探しをしていた。私が所属するNPO団体にやってくる高齢者は、70歳以降のシニアが多い。その中には、年金プラス月額10万円を稼げれば満足という人がいる。実際、NPO団体で積極的に仕事をしているシニアは月額10万円ぐらいは稼いでしまう。

NPO団体以外でもアルバイトで週3万円ぐらい稼げれば、月額12万円になる。定職でなければ高齢者でも月額10万円を稼ぐのはそれほど難しくない。シニアが再び職を求めるのは、お金だけの問題ではない。お金は本当に生活に困っているシニアが求める。そんな境遇のシニアは、65歳で引退しない。ずっと働き続ける。

最近の傾向として、70歳を過ぎても働いているシニアが増えてきている。何故なんだろうかと考えてみた。

暇な時間が多すぎて人生がつまらなくなる

65歳で仕事を完全に離れて引退生活に入ったのは良いが、1年から2年が過ぎる頃、暇に襲われ始める。やることがなくなり、つまらない時間を費やす日々が続く。私は、そんな65歳以上の元会社員を多く見てきている。最初の1年間は、今までやれなかったことをやっているので顔が輝いている。

でも、2年目に入ると次第に顔の輝きが消えていく。コアの生活リズムがないために毎日毎日、今日は何をやろうかと考え込むのだ。どうしようもなく、外で元気よく活動している知人を訪ねて何か良いことはないかと聞き始める。 

健康が維持できる

顔が輝いて社会で活動している高齢者は、自分の経歴が生きる仕事をしている場合が多い。NPO団体で活躍しているシニアは、大企業に中小企業の技術や製品を紹介するマッチングサービスをしている。自分の人脈が生きる仕事だ。彼らは、毎日自分が担当している中小企業の製品や技術に興味を示す会社を探しに出歩いている。

精神も体も仕事に集中しているので自然に健康も維持できる。体を動かし続けるので足腰が鍛えられ、中小企業と大企業をマッチングさせるための策を考えて実行するため頭を使うことになる。認知症予防にもなり、肉体と精神的な老化を防いでいる。

仕事があると肉体と頭を使い始める。日々の生活で時間の制約が生まれるが、自分がやれる仕事であれば苦にならない。お金のために我慢するような仕事は、お金が目的だ。そうでない仕事であれば自分の経歴や技術が生きる仕事を見つければ良い。自分の健康を維持したいならば、関心がある仕事を見つけやすい高齢者専門の派遣会社に登録する。または、シルバー人材センターに行って自分の経歴が生きる仕事があるか確認してみることだ。

新しい人と知り合いになれる

仕事場には、常に新しい人との接点がある。一緒に仕事をすれば必然的に会話が生まれる。食事も一緒にすることもある。仕事帰りに一杯やることも増える。毎日顔を合わせば、親近感もます。毎日でなくても何度も同じ顔を見れば他人が知人に変わる。新しい人間関係が作られる仕事があると日々の生活に張りが生まれる。

私も自分のビジネスでは人に会うということが少ないが、NPO団体の活動で色々なシニアと顔を会わす。話はしていないが見慣れているシニアが大勢いる。時々、NPO団体から仕事の依頼が来る。その依頼は個人でやるのではなくグループプロジェクトで仕事を行うので必然的にNPO会員と連絡や打ち合わせをしながら行動することになる。そんな活動から色々と私が経験していない情報を得たり体験したりしている。

新しい知人を増やすには、仕事をするに限る。孤独で寂しいと感じているシニアは、アルバイトでも良いから仕事を始めることだ。それが出発点になる。

「年金プラス」の収入が得られる

一般的な統計では、老夫婦の年金収入の平均が月額22万円から23万円ぐらいだという。この金額で生活が成り立っている夫婦ならば、年金だけで何とかやっていけるのだが、現実は後10万円ぐらいプラスしないと生活に余裕がないと聞く。誰もがそうだとは思わないが、一つの目安として年金プラス10万円の月額は誰もが求めているのではないだろうか。

私が知っている大手商社の退職者は、企業年金が最低でも月額50万円を保証すると聞いた。それに厚生年金プラス国民年金だから老後はお金に困ることがない生活が保証されている。上を見れば切りがないし、下を見ればこれもまた切りがない。他人は他人。自分の経済状態を良くするには、収入が得られる仕事で稼ぐことである。 

仕事があればと探すのだが、自分が気に入る仕事は100%無いと考えるべきだ。誰もが嫌がるから仕事があると考えるべき。お金を稼ぎたければ多少の我慢は付きものである。それが嫌ならば、自分で自分の仕事を作ってお金を稼ぐしか無い。年金プラスの収入を得たいならば、時間売りの労働になるのだが、健康でなければ始まらない。

知的生産の仕事は特別なスキルを求められ専門分野が多い。自分のキャリアが専門職であるならば、その分野でアルバイトやパート、または、派遣社員として働けるチャンスがある。頭の中でそれは無理だと思わないで実際に動いて探してみると案外チャンスがこちらを向いている。 

自分の小遣い稼ぎならば、稼ぐ金額を決めて、例えば、月額3万円とすれば、マクドナルドでアルバイトをすれば月額3万円ぐらいすぐに稼げるはずだ。その仕事が楽しめれば、継続すれば良い。ファストフード店は年中人手不足だ。スーパーマーケットとファストフード店は、若い人が集まらないので主婦やシニア労働者をターゲットにしている。

暇で毎日が苦痛なシニアは、頭で考えずに近くのスーパーやファストフード店でアルバイトを始めることである。少なくとも暇からは逃れられるし、小遣いも稼げる。新しい人のと接点も生まれるが若い上司から久しぶりに叱れれるだろう。それも良い刺激になる。

コロナウイルス感染でシニアは一時的にアルバイトやパートを離れて行っている。確かにコロナに感染すると命を落としやすい。こんな時期はオンライン会議の使い方を学ぶべきだ。Google MeetやZoomなどがスマホやパソコンで使えれば、多くの人たちとオンライン懇親会が開催できる。

老いてくれば来るほど頭を使う仕事を作り出すことである。特にインターネットでやれる仕事が理想である。

結論

  • 65歳で引退生活を始めたが1年後、2年後に仕事探しに動き始める高齢者が多い。何かに没頭する趣味があればよいのだが、それが何年も続けられない場合が多い。元気で体が動くならば、仕事をして暇から逃れたいということだ。
  • 仕事をすることで色々なメリットが生まれる。身体と脳を刺激するので健康が維持できる。職場で新しい人たちとの出会いがあり、会話が生まれる。働くことで年金プラスの収入が手に入る。老後の生活資金として使える。