何故、老人になると人混みがひどく嫌になるのか?

人混みが好きな人、嫌いな人、個人差がある。若い頃は人混みが苦にならなかった。新宿や池袋駅界隈は、人混みのメッカだ。70歳になるが、最も行きたくない駅だ。渋谷のハチ公前の交差点を渡る群衆のような状態が新宿や池袋駅あたりにある。

前方からやって来る人を避けながら行きたい場所に歩くのは疲れる。シニアは若者と違って機敏に体を動かせない。混雑した駅の階段を降りたり、上がったりするときも足元や前方を注意しながら行く。人混みがなければ、足元だけを注意知れば良い。

人混みは老人に余分な気を使わせる。それが嫌だというシニアがここにいる。

人混みを楽しむシニアはいるのだろうか?

寂しいシニアならば、人恋しさで人混みの中にわざと身を置くかもしれない。時々、ホームレスらしき老人が横浜駅周辺に座っているのを見かける。

私がなぜ人混みを嫌うのか?

自分に尋ねてみると、思いっきり歩きたい方向にまっすぐ歩けないという欲求不満と人を避けながら歩くのが疲れるという理由がある。

老いてくると歩き方がゆっくりになる。視野も狭くなり人にぶつかり易くなる。人を避けるのが面倒になり目が疲れ始める。こんなシニアの心理状態を若い人たちは理解できないだろう。

駅の階段を下りる老人の後姿を見ると階段の左右にある手すりに手が届く範囲内で下りて行く。人混みが多い所は、老人にとって要らぬ気を使わざるを得ない場所。駅の階段は、老人にとって一番注意を要する。上がってくる人、下って来る人が同時に階段で交差する。

駅はどうしても人が集まる場所。駅の中が迷路になっていなければ助かるのだが渋谷のヒカリエは老人にとって迷路中の迷路になっている。一体どこに行けば地上に出られるのだろうかと焦る。

高齢者が人混みを極端に嫌うようになる背景

心身の機能的変化情報処理能力の衰えが深く関与している。

人混みを避ける主な原因は以下の通りである。

身体的・感覚的負担の増大

  • 体力の低下と疲労の蓄積:
    • 加齢に伴い、身体活動能力が低下する。人混みの中での移動や立位保持は、若年時と比較してはるかに大きな身体的負担となり、短時間で疲労が蓄積する。
  • 転倒リスクと不安感:
    • 人混みでは、予期せぬ接触や急な動きが多く、バランスを崩しやすくなる。高齢者にとって転倒は骨折などの重大な怪我につながるため、この転倒リスクの増加が強い不安と恐怖を引き起こし、人混み回避の動機となる。
  • 個人空間(パーソナルスペース)の侵害:
    • 混雑した状況では、他者との物理的な距離が極度に近くなる。この頻繁な個人空間への侵入が、心理的なストレスや不快感を増幅させる要因となる。

脳の情報処理能力の限界

  • 情報過多による認知負荷:
    • 人混みは、視覚情報(無数の人の動き)、聴覚情報(騒音、雑踏)、その他の感覚情報が同時に押し寄せる高負荷な環境である。
    • 加齢により、脳がこれらの大量の感覚情報を取捨選択し、処理する能力や速度が低下する。その結果、情報過多の状態となり、混乱、強い疲労、ストレスを感じやすくなる。
  • 瞬時の対応・判断の困難:
    • 人混みでは、急な立ち止まり、方向転換、衝突回避など、状況に応じた迅速な判断と行動が常に要求される。情報処理速度の低下に伴い、この臨機応変な対応が困難になり、不安やパニックにつながることがある。

心理的な要因

  • 不安感の増強:
    • 人混みの中で「すぐに助けを呼べない」「閉じ込められている」と感じる状況に対する不安症(広場恐怖症など)が、高齢期に顕在化することがある。
    • 過去に人混みで不快な経験やトラウマを負ったことが、回避行動を強化している場合もある。
  • 生活の質の重視:
    • 時間を大切にしたいという意識から、待ち時間が長く、ストレスの多い人混みでの活動を「避けるべき時間」と判断するようになる。静かで予測可能な環境への選好性が高まるのである。

これらの複数の要因が複雑に絡み合い、高齢者が人混みをひどく嫌悪し、回避する行動につながっている。

高齢化社会では老人がいっぱい外に出てくる

高齢化社会が既にやってきている。2025年には団塊世代の人たちが75歳前後になる。私は70歳になる。駅に集まる人の四分の一以上がシニアになる。人混みでシニアがケガをしない環境が出来ていれば良いが、社会は問題が発生してからアクションを起こすので期待薄だ

横浜で開催される花火大会などは人の海になる。それでも、若いカップルは花火大会に出かける。人混みがそれほど気にならないのか、人混みを気にするよりも恋人に気がいってしまっているのでそれどころではないのだろう。

人混みの中を歩くのは忍耐力と体力が要求される。若い人たちは、忍耐力と体力があるのでそれほど気にならない。老人は、人混みを見たとたん精神的に嫌気がさす。 人混みを嫌う老人が多いのは、自然な現象なのかもしれない。2030年には65歳以上のシニアが人口の三分の一になると予測されている。

老人が街にあふれるとどうなるのだろうか?

老人向けにお店が増えてくる。歩き疲れた足を休めるベンチやレストランが増えてくる。歩きやすい歩道が作られてシニアに優しい環境になる。自動運転の車椅子や歩行アシストロボットのレンタル店が増える。交番の警官も徘徊している老人探しで忙しくなる。

人混みが多くなる場所で老人による事故が増えるため、老人に対し人混みを避ける注意書きが増える。2025年現在、横浜の地下街を朝歩けば多くの老人を見かけることになる。朝、横浜駅周辺に現れる老人たちは行くべき場所を決めている。ドトールコーヒー店などのカフェである。午前中はカフェで暇をつぶし、ランチを食べたあとは街中を目的なしにぶらつく。

そんな老人が増えてくると70歳の私でも嫌になる。ぶらつく老人を避けながら歩かなければならない。

結論

新型コロナ感染で非常事態宣言が出ているのだが、駅周辺は人の混雑がひどい。元気なシニアは人混みがあっても気にしないかもしれないが、年齢が70歳を過ぎれば人混みの中を歩くのが疲れ始める。足の筋力の衰えに視野が狭くなり機敏な動作が出来なくなる体で前からも後ろからも歩いてくる人に注意しなければならない。

シニアは老化で機敏な動きが出来なくなる。ゆっくりと周りを気にせずに歩ける場所がシニアにとって一番気持ちが良い。

 

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