介護状態の老人は甘えて家族を困らせ、必要以上の負担を増やす

介護ベッド生活を送っている老人は、自分で身動きができない。食事をするにも排泄をするにも誰かの介添が必須になる。年齢が80歳を越えると自分の体が老化現象で自由に出来なくなるという現実に不安と恐怖を抱く。私の義母は85歳。圧迫骨折で介護ベッド生活を送っている。骨折は順調に回復してきて、背中の痛みはなくなってきた。

問題は、足の筋力低下。この問題は健常者の老人にも当てはまる問題である。

介護ベッド生活の期間が長ければ長いほど足の筋力と体の筋力が衰えていく。体を動かすことが少ない介護ベッド生活は老後の生活の生死の境目になる。足のリハビリを頑張って自分で歩けるようになれば、生の道が開ける。自分に甘えて我儘な生活を送るならば、死の道が開く。

そんな状態を介護されている老人は意識していない場合が多い。自分のために家族がなんでもやってくれるからだ。子供が母親に駄々をこねるように老人も同じ精神構造になる。子供は自分ができないことを母親に求める。介護されている老人も自分で出来ないことを家族に求める。

介護する家族は何でも聞いてやってあげることが親へのお返しと思っている。その結果、介護負担で自分を駄目にしてしまう。義母の介護も私達夫婦に負担をかけていた。義父は一人で自分のお世話ができているが出来ないことはすぐに私達夫婦に来る。義両親の介護とお世話は私達夫婦の自由な時間を奪う。

介護ベッド状態の義母は子供のように幼稚化してしまった。何かほしいモノ、やってもらいたいことが頭に浮かぶとすぐに大声で私達を呼ぶ。これが頻繁に起こる。子供のように言い聞かせることも出来ない。幼稚化した老人は子供以上に厄介である。

誰かに頼り始める生活は老人を幼稚化させる!

一般的に聞こえてくる話は、介護ベッド生活を送っている老人が介護をしてくれる家族に甘え出すという現象である。自分で出来ないことを家族にお願いする時、自分の娘や主人であると身近な人達であるため好き勝手なお願いをする。なぜか、遠慮という理性が働かない。

義母の介護

義母の介護支援を始めて2ヶ月が経過した。日々色々な老人特有の現象に出くわす。一つの問題が解決できたら次の問題が生まれてくる。老人の様体は何故こんなにも変化しやすいのだろうかと不思議に思う。問題が解決される度に楽観視するのだが、直ぐに別の問題が生まれてくる。

病院から退院して自宅に帰ってからの3週間は、せん妄状態で何が原因でせん妄が発症しているか分からなかった。せん妄状態は、自宅での療養が経過するに従って改善してきた。せん妄の問題が解決し始めたら、次に気持ち悪さが継続的に発症し、食事を摂ることが難しくなった。原因は、複数の処方された薬が気持ち悪さを副作用で生み出していた。

気持ち悪さを取り除くために最低限必要な薬だけを飲むようにしたら、気持ち悪くなる現象はなくなった。食事も段々と取れるようになった。これでもう問題はなくなったと楽観した矢先に「老人の甘え」が目立つようになった

老人の甘え

病院退院後2ヶ月後の状態で病気と思える現象は消えたのだが、「老人の甘え」が新しい問題として浮かび上がってきた。現時点で「老人の甘え」に対してこれと言った解決法が見当たらない。一つだけ顕著なことは、身内の人と他人では態度が違うということだ。

他人である介護ヘルパーには、「老人の甘え」を出していない。介護支援をしている家族に対してだけ「老人の甘え」が出ている。娘と娘婿(私)でも対応の違いがある。娘婿の私に対しては、言葉の面で極力甘えを抑えている感じがするが、依頼ごとはあまり違いがない。

義父と相談したことは、週1回デイサービスを利用しているのでデイサービスの回数を1回から2回に増やして他人との接点を増やすことで家族に対する「老人の甘え」を減少させようと考えた。世間体を気にする義母であるのでデイサービスで元の自分を意識させたい。結果は良好であった。あとはデイサービスの日に必ず行ってもらえれば良いだけ。その日の気分で行かないわ!ということがただある。それが問題になる。

歳を取ると老人は幼児のような精神状態に戻ると言われる。幼児は、自制心が出来ていなく自我丸出しで駄々をこねる。自分中心で周りの人への配慮を考える余裕が無い。自分で出来ないことが多いために誰かにやってもらおうとする。それが直ぐにできないと駄々をこねて泣き叫び始める。

老人も同じような心理状態になるのだろうか。自分の体が不自由になると誰かに頼って求めることを実現しょうとする。それが出来ないと怒り出す。家族への不満が自制心なしに出てくる。他人へは、気兼ねして我慢する。何でも老人の言う事を直ぐに満たして上げる生活が続くとそれが当たり前のように思い始める。子供の心理と同じになる。

ケアマネジャーと相談して義母を老健施設に入居させる

義父の生活支援と義母の介護で私達夫婦の負担が限界に近づいてきた。そこでケアマネジャーに抱えている問題を相談した。彼女からの助言は義母を老健施設に入居させること。お金は月額15万円ぐらい発生するが、私達夫婦の負担はなくなる。

老健施設はリハビリで要介護認定の老人を回復させて自宅での生活が出来るようにする施設である。現実は違う。多くの老人は老健施設を渡り歩く。3ヶ月毎に違う老健施設に移動しないと老健施設での生活が続けられない。A老健施設で3ヶ月、B老健施設で3ヶ月。AとBの老健施設を往復する生活をしないと老健施設での生活が続けられない。

3ヶ月ごとの老健施設の移動手続きさえ行えば、家族の介護負担は無くなる。お世話をしてくれる介護士は他人であるので我儘を貫くのは難しい。徐々に自制心がついてくる。認知症はないので足のリハビリが上手く行けば老健施設での生活は快適になる。

義母は要介護5で老健施設に入居し、3年以上が経過した。現在、要介護1まで改善した。義母のような老人は珍しいと言われる。今年中に老健施設から有料老人ホームに引っ越す予定になっている。歩行車を使って自由に歩行できるまで回復したので老人ホームで不自由なことは少ないと思っている。

結論

子供の甘え老人の甘えは心理的に同じ。

「老人の甘え」を解決させるには、できるだけ早く自分の足で自由に歩けるようにリハビリを強化させるしか無い。自分で自分の欲求を満たせれば、家族に頼る必要が無くなる。家族の負担をなくすには老健施設に入居させてリハビリをさせることが一番良い。