90歳代の両親とその子供二人が相続税を支払うことなく現金の遺産を受け取れるようにするにはどうしたら良いかを考えてみた。相続税控除は、基本控除金額3000万円+子供の人数x600万円である。仮に母親が他界したとする。
- 基礎控除 3000万円
- 父親 600万円
- 子供二人 600万円x2=1200万円
合計控除金額 4800万円になる。母親の金融資産が4800万円以内であれば、相続税は発生しない。残った家族は相続税を気にしないで金融資産を分割できる。
両親二人の金融資産が8000万円あるならば
まず、金融資産8000万円を父親と母親に2等分する。各人4000万円。これをすることでどちらか片方が他界しても相続税は発生しなくなる。
ただ、
母親が他界して相続したお金の一部が父親に行く。4000万円の50%が仮に父親に配分されたら、父親の金融資産は、4000万円+2000万円=6000万円になる。
6000万円の金融資産を持つ父親が他界すると子供二人が相続する。基礎控除金額3000万円+600万円x二人=4200万円まで相続税はかからない。6000万円から4200万円を差し引くと1800万円が相続税課税金額になる。
両親、どちらかに不均等に金融資産を配分しておくと返って税負担が大きくなる。
母親に税控除満額の4800万円を配分して母親名義の銀行口座に入れておく。父親は残りの3200万円の金融資産になる。母親が他界した場合、50%の相続が父親に行く。2400万円である。父親の金融資産は、3800万円+2400万円=6200万円になる。
父親が他界すると6200万円から相続控除金額(3000万円+600万円x二人)4200万円を差し引くと2000万円が相続課税金額になる。この結果、課税する金額が200万円増加する。
結論として、
- 金融資産は両親二人で二等分して分けておく
株や投信などの現金化しておけば、相続時に配分がしやすい。不動産は、処分するのに時間がかかるし色々な相続対策があるので自分たちの都合に合わせて考える。
これはお金が沢山ある人の悩みである。貧乏人には縁のない話だが、参考まで。
なお、配偶者控除が1億6000万円まであるので相続する配偶者が全て相続することで相続税は発生しない。
ただ、問題なのは、残された配偶者の金融資産が大きくなるのでその配偶者が亡くなる時は、子供に相続税負担が増す。その意味で、最初の相続時に子供への相続を税負担がない金額で行ったほうが良い。