不安を呼ぶ老後の生活

新しい生活のリズムを築き上げるのに試行錯誤の時間が必要である。老後にやりたい事があるシニアは、新しい生活のリズムを作りやすい。何をやったらいいのか、どんな老後の生活を求めているのか、自分でもはっきりわからない高齢者はどうしても試行錯誤の時間が発生する。老後の時間の使い方は老いて行く過程で変化する。体の老化現象で今まで出来ていたことが出来なくなり、やれることに制限が生まれるからである。

老後の生活リズムが出来上がっている老人ならばそのリズムが崩れないように対策を取る必要がある。老後の不安はお金だけではない。一番不安な事は健康である。70歳を過ぎる頃から免疫力が急激に落ちて深刻な病気に襲われるリスクが高まる。さらに体の筋肉量が失われて体を活発に動かすのが面倒に感じ始める。

老人の体は筋肉の損失と免疫力の低下で普通の生活を送る上での支障が高まる。お金を貯めればそれで老後の不安が軽減されると信じているシニアは目出度い。実際はお金よりも体を自由に動かせる健康にある。「体が資本である」という心理が老人になればなるほど身に沁みてくる。

老後の生活は出来るだけ長く自宅での生活を普通に暮らせるようにすることである。老人ホームに入居するシニアは自宅で普通の生活ができなくなった方々である。その時に老人ホームに入居できるお金があるか、どうかでお金の不安が生まれる。普通に暮らせる体を維持できる限りお金の不安はあまり起きない。

普通の生活を送ることがシニアの命題になる。

普通の生活が難しくなる

こんな出来事が自分に起きると自宅での生活が維持できなくなる。

  1. 自分で身の回りのことが出来なくなる(足の筋力低下)
  2. 金欠病にかかる(突然の出費に対応できないほど貯蓄がない)
  3. 最愛の伴侶が他界する(孤独な生活が始まる)

自分の身の回りのことが出来ない

75歳を過ぎる頃から自分の体を思うように動かせない老化現象が酷くなる。当然、個人差はあるが長期間体を動かさないと動かさない部位の筋肉が固くなる。体の柔軟性が失われていく。足の筋力低下は日常生活の活動で響く。自宅にいる時間が多い高齢者であるならば、時間の問題で足の筋肉がどんどん失われていく。老人の筋肉は、若者と違って一度失うと回復するまで時間とリハビリの苦痛が長く伴う。

足の筋力低下は60歳を過ぎた頃から急激に起き始める。足を意識して使う日常生活であれば問題がないが、足を楽にする生活習慣が身につく(階段を使わない、歩く時間や距離が少ないなど)と足の筋肉は環境に適応しようとして 使わない筋肉を落とし始める。

高齢者にとって歩けるという機能が当たり前でなくなる。当たり前のことが今まで出来ていたのに老化が進むとそれが出来なくなる。こうなる前に対策を講じる必要がある。

対策

足の筋力を維持、強化するためには、60歳を過ぎたら意識して足を使う生活習慣を身につける。エレベーターやエスカレーターをあまり使わずに階段を使うように心がける。65歳を過ぎて仕事をやめ、年金生活に成ったら、自宅に閉じこもらないで毎日外出する。朝は公園に行って散策する。午後は、地区のスポーツセンターに出かけて健康体操教室に通う、または、街に出てカフェでコーヒーを楽しむ。外出すれば自然と足を使う。その時、意識することは足に楽をさせないことである。

活発に体の筋肉を使う活動を習慣にする事で体の状態を現状維持できる。普通の生活を続けたければ今まで出来ている動きを続けることである。体を楽にさせる事を始めたら、その部位の筋肉を失う。シニアは意識して体を使う生活を心がける必要がある。

金欠病にかかる

65歳になって年金生活を送り始めると今までの消費生活では回らなくなる。毎月赤字が続くような生活を続けると確実に金欠病になる。対策は2つしかない。

  1. 年金以外の収入を増やす
  2. 毎月の年金で生活が出来るように出費を抑える

年金以外の収入を増やすには仕事を見つけることか、仕事を作るしかない。働きたくなくても働かないと今の生活水準を維持できないとなれば、働く道を考えるしかない。肉体労働は元気で体力があれば仕事として可能であるが先がない。1日3時間程度で負担が少ない仕事であれば、75歳ぐらいまで働ける可能性がある。そんな仕事を探す。一番可能性があるのはファストフード店のアルバイト。モスバーガーは以前からシニアアルバイトを募集している。マクドナルドもシニアを募集している。人手が欲しい業界でアルバイトを探すことである。

対策

働ける仕事が見つからない、体力に自信がない、もう働きたくないという高齢者は、何を節約すれば年金だけで生活が回るかを厳しい目で探さねばならない。

  • 電気、水道、ガスなどの公共料金やスマホの通信料金を下げる工夫
  • 無駄な買い物をしないで有る物を使い倒す
  • 健康食品・サプリメントの購入をやめて食事から取る工夫をする
  • お金のかからない交際・交流をする
  • 歩いて行ける距離の場所は電車、バス、自動車、バイクを利用しない
  • 間食をしない

今までの生活で何に一番お金を使っているかを見つける。トップ3から節約ができるかを検討する。多くの高齢者は健康食品やサプリメントを買っている。健康食品を飲まなくても健康は維持できる。毎日バランスの取れた食事をすれば良いだけである。健康食品は何らかの事情で必要な栄養が取れないための補助食品であり、体を健康にする薬ではないので頼りすぎないこと。

新聞に1面広告で健康食品の効能を訴えているが騙されないことである。医師が処方する薬では無いことを自覚することである。健康食品は無駄な場合が多い。食事で工夫すれば必要ないということを知るべきである。毎月支払っている健康食品の費用を見直してみると驚く。知らないうちにお金が出ていっている。

最愛の伴侶が他界する

夫婦生活は、ずっと二人で続けられない。どちらかが寿命を全うしてこの世を去る。これは避けられない運命。良く聞く話は伴侶が他界すると後を追うように残った人も他界するという話である。年齢が高齢であればあるほど、こんな現象が起きやすい。

一人で生活する時間が増えると孤独と孤立を味わう。二人の生活から一人の生活になるのは大きな変化である。肉体的にも精神的にも気が付かない負担が生まれる。

対策

女性と男性では孤独と孤立を回避する方法が違うのかもしれない。女性の場合はおしゃべり相手が近くに住んでいればこの問題を回避し易い。男性の場合はお喋りをするという欲求が女性ほど無いため何かの娯楽を気の合う仲間とやる機会を見つけるしかない。地域の自治会に参加したり、ボランティア活動に参加したり、何らかの社会活動に参加することで新しい人との出会いと社会とのつながりを見つることである。

一番良くないのは自宅でテレビばかり見ている生活である。受け身の生活は肉体的にも精神的にも良い刺激を与えない。自発的に動く活動を生活のリズムの中に組み込むことである。

人がいる場所に自分を行かせることで社会の中の自分の存在を再認識できる。自発的に自分で行動を起こさないと孤立する。自宅で孤立すると孤独がやって来る。自宅にいる高齢者は他人の目に触れないため生きているのか、死んでいるのかが分からない。孤独死はこんな形でやってくる。

普通の生活を維持する最大のメリットは

家族に迷惑が行かない。自分の事は自分で世話が出来るという安心感。老人ホームに入居するための多額なお金を使う必要がない。普通に生活をするだけのお金で暮らせる気楽さ。体が自由になることで行きたい場所、旅行、活動ができる。

シニアにとって「普通の生活をする」と言うことが年齢とともに難しくなる。それが幸せを運んでいたと気が付くのは自分の世話が自分で出来なくなった時である。私の義父はもうすぐ97歳になる。今は老人ホームで車いすの生活をしている。認知症はないため、身体の不自由が一番の憂鬱である。

車いすに座り続けるとお尻に痛みが生まれる。動かない生活が続いたためお尻の筋肉や脂肪が少なくなりクッション効果を失う。足さえ自由に動かせれば、外出して好きな場所で食事ができるのにと思っているはずである。体が不自由でないシニアは今の幸せを認識していない。

結論

心配なのは老後の生活リズムが崩れて普通の生活が出来なくなった時である。老後の不安は普通の生活が出来なくなった時に現実となる。

  • 自分で身の回りのことが出来なくなると老後の生活リズムが壊れる
  • 金欠病になると働きたくなくても仕事をしなければならない
  • 最愛の伴侶が他界すると孤独と孤立がやって来る

老後の不安を回避したければ「普通の生活」を維持するにはどうしたら良いかを考えて対策を取ることである。