今年、68歳で自動車免許の更新を終えた。次回は72歳の時になる。多分、72歳の更新時に緑内障の悪化で視力検査をパスできないかもしれない。仮にパスしても免許は75歳まで。75歳でまた更新する必要がある。高齢者専用の試験にパスしなければ免許の更新はできない。
夫婦で自動車を運転しているのだが、家内は私に自動車運転をしてもらいたいと言っている。72歳、75歳時の免許更新の試験は受けるだけ受けて駄目ならば仕方ないという理解でいる。ただ、私の心は72歳の更新はできないのではと感じている。視野欠損は自動車の運転で事故を起こすリスクが高い。信号の見落としで事故を起こすかもしれない。そんな不安がある。
こんな調査があった。「ズバット」を中心とした比較サイトを展開する株式会社ウェブクルー(本社:東京都世田谷区、代表取締役社長:藤島義琢)は、2022年4月に「ズバット 車買取比較」「ズバット 引越し比較」「保険スクエアbang! 自動車保険」利用者において『運転免許証の返納に関する調査』を実施。(引用先 PRTIMESプレスリリース2022年)
この調査の中で私の目に留まったアンケート結果がある。
70歳、80歳代で87.6%の方が自動車免許証を返納している。70歳代は45%と一番多い。70歳代は健康に生きられるかどうかの節目の年齢である。それを体で感じているからではないか。自動車事故で余生を台無しにしたシニアは多い。そうならないためにどうすれば良いかを考える必要がある。
自動車を手放すタイミング
最近の自動車はセーフティ・サポートカー(サポカー)になっている場合が多い。
サポカーSワイド対応の内容:参照先 サポカーの未来)
- 自動(衝突軽減)ブレーキ〈対歩行者〉
- ペダル踏み間違い時加速抑制装置※1
- 車線逸脱警報※2
- 先進ライト※3
新しい自動車でサポカーSワイドであれば、高齢者でも事故をある程度防止できる。自動車がどうしても必要な生活環境にいるシニアはサポカーSワイド対応の自動車に乗り換えた方が安心である。
自動車を運転する多くのシニアは生活の利便性を高めるために運転をしている。私が運転している理由も生活の利便性が理由である。問題は今乗っている自動車が10年前のモデルでサポカー対応になっていない。来年までにサポカーSワイド対応の新車に乗り換える予定でいる。
自動車の機能がどんなに賢くなっても人が主体の運転にはリスクが伴う。自動運転が可能になるレベル4になるまで安心して自動車に乗れない。
自分の運転に不安を覚えた時
自分の運転に不安を覚える年齢がある。60歳代の高齢者が共通して話しているのは還暦を過ぎて身体の老化を肌で感じ始めた時に自動車の運転が以前よりも慎重になったと言っている。ちょっとした身体の変化から来る不安が自動車の運転にまで影響している。
視力の衰えで夜間の運転が以前よりも疲れたり、日常用の眼鏡以外に自動車用の眼鏡が必要になったりする。信号機の見落としや車庫入れで自動車を傷つけたとか、ちょっとした変化が不安を生む。そんな時、本当にこのまま自動車を運転し続けても良いのだろうかと考え始める。
自分の運転に不安を覚えるということは自動車事故を起こすかもしれないという不安に結びつく。不安の程度でまだ大丈夫と感じるならば運転を続けても大丈夫かもしれないが、ちょっとこれはまずいと感じ始めたら自動車の運転を止めるべきである。事故を起こした後では取り返しがつかない。
視聴覚機能が衰えた時
自動車を運転する上で視聴覚機能は重要である。特に視力は前方で何が起きているかを判断する上で重要な役割を果たす。聴覚は自動車が発する音の変化やクラクション、そして、救急車の接近などで重要になる。私は視野と聴覚で問題を抱えている。緑内障で両目の上半分が見えていない。右耳の聴覚も特定の音域で聞こえずらい。それでもまだ運転を妨げる程度まで悪化していない。
私が自動車の運転を止める時は緑内障が酷くなって前方の視野が運転を妨げる程度までなった時である。聴覚は左耳が健在であるので問題がない。視覚は自動車を運転する上でどうしようもなく重要になる。時々、横断歩道がない場所を横切る老人がいる。視野欠損でその老人が見えなければブレーキを踏めなくなる。
視野欠損で運転を止めるシニアは多いはず。無理して運転をすればいつか自動車事故を起こす。
年金生活に入った時
70歳を過ぎると仕事から離れて年金生活に入るシニアが多くなる。年金以外の収入がないと節約の生活になる。自動車関連のコストは年金生活者にとって負担が大きい。自動車税、車検や年間整備費、自動車保険、ガソリン代などは必ず発生する。自動車を維持するためにアルバイトやパートをするシニアもいる。普通車から軽自動車に買い替える人もいる。
自動車を運転するためにのコスト負担が年金生活を始めると意識せざるを得ない。経済的な負担が大きい場合は自動車を運転する事を止めることである。そんなシニア夫婦が隣人にいる。生活は不便になるが、歩く事が多くなり健康的な生活になったと話してくれる。買い出しなどは電動アシスト自転車を使っているという。
加齢による身体能力の衰えを感じた時
歩行障害がある老人が自動車を運転する。これは正しい事であるか。足が不自由だから自動車を運転して移動するという考え方である。自動車は右足でアクセルとブレーキを操作する。足の動作が不自由な状態でアクセルとブレーキを上手く操作できるのだろうか。脚力が衰えると足が疲れやすくなる。そんな状態で自動車を運転するのは危険である。
老いて来ると身体能力が衰えることを自覚する。最初に歩行する足に影響が出る。足の筋力が落ちて歩幅が狭くなり、歩ける時間が短くなる。足を上げて大股で歩く事が出来ないほど脚力が落ちる。そんな老化現象が70歳を過ぎると多くのシニアが肌で感じ始める。
自動車は自分の足の代わりになると思って運転するシニアだが、基本は自動車を運転する人の体力である。長時間自動車を運転すると足が疲れて筋肉がつることがある。自動車運転で身体能力の衰えは事故を起こすリスクを高める原因になる。私は自分の足で歩くのが難しくなった高齢者が自動車を運転する事に反対である。右足のコントロールと機敏な反射動作が出来ないからだ。ハンドルを握る腕の力も自動車の運転で問題になる。急カーブを曲がり切れなくなる。
自動車は自分の足の代わりになれない。自分の脚力でコントロールが上手くできない高齢者はその自覚がない。自動車は普通の人の体力と機敏な動作能力がないとリスクが高まる。
自動車はいつか手放す時が来る
自分の生活から自動車という移動道具が消える時が必ず来る。それが早いか、遅いか。そんな時が来たらどうするかを考える。回答が出るならば、その時まで待たないで早い時期にテストしてみることである。自動車に代わる移動の道具で都合の良い物は何か。一般的に言って、バスや電車になる。タクシーもあるがお金がかかり過ぎる。
体力がまだあるならば、電動アシスト自転車という選択肢もある。レベル4の自動運転によるレンタカーサービスが生まれれば運転免許なしで自動運転レンタカーを借りる事も出来る。問題はいつ頃になるかだけである。
自動車は行動範囲を広げる。外出する機会を増やす。老後の生活に刺激を与え、潤いを増やすのは確かである。自動車に頼らない生活をするにはどうしたら良いかを考える必要がある。
自動車に頼らない生活をするには
- 公共交通機関(バス、電車)にアクセスしやすい場所に住む
- 生活に必要な物を手に入れる手段を揃える(オンラインショッピング)
- 食材デリバリーサービスを利用する
- グループでタクシーを借りる
私は平日は毎日自宅から最寄りの駅まで徒歩で行く。その距離は約1.8キロ。自宅は丘の上。そのため、自宅に帰るには急な坂を上がる必要がある。横浜の住宅街は丘の上にある。片道20分前後かけて駅まで歩く。歩数で約7000歩から8000歩である。
岡を上がったり下りたりするのは体力を要求するが、筋力を鍛える。その意味合いでは歩くという選択肢を移動手段として考えても良い。スーパーへの食料品の買い出しは朝、昼、夕方の3回に分けて少しづつ買いそろえる。自動車があれば、一度に沢山買えるのは確かである。それを1日3回の徒歩による買い出しにする。実際にそれを生活のリズムにして足腰を鍛えているシニア夫婦がいる。散歩の延長という感覚である。
結論
自動車は便利な移動道具である。交通の利便性で都合が悪い場所に住んでいる人にとって自動車は無くてはならない。勉励な道具だが、経済的な負担と事故を起こすリスクがある。老いてくると年金生活で自動車を維持するコストが高くつく。視聴覚機能の面でも老化が進み、運転に不安を感じ始める。機敏な反応ができない高齢者の体は自動車の運転についていけなくなる。
運転能力は体力、判断力、機敏性に依存する。身体の老化は運転能力を衰えさせる。60歳を過ぎると誰もが老化を肌で感じ始める。自動車の運転でも不安を感じ始める。シニアの自動車事故が頻繁にニュースになると余計に自動車を運転するリスクを考え始める。
シニアは自動車の運転をやめるタイミングを決めておく必要がある。どんな状態になったら自動車の運転をやめると決めておけば自動車事故を起こす確率を下げられる。
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