老人の体が硬くなる(体の柔軟性が無くなる)のは、なぜか?

幼児が歩いている姿と老人が歩いている姿を同時に見る事がある。幼児の体は、くねくねして柔らかそうだ。老人の体は、ぎこちなく固そうに見える。個人差はあるだろうが、老いて来ると体が硬くなる。肉体労働をしている人は、体がキビキビ動かせる。色々な動きに体が慣れているからだ。老人も体を毎日キビキビと動かしていれば、体の動きが柔軟になる。

筋肉の伸縮性は、日頃良く使っているか、いないかで機能を維持できるか、出来ないかになる。大人の行動は、子供と違って活発に体を動かさない。座って生活をする大人が多い。階段を上るよりもエスカレータを使う。使う筋肉も限られる。自然と日頃使う筋肉と使わない筋肉が出てくる。

40肩、50肩、60肩という病気がある。肩関節を動かすと激しい痛みが生まれる肩関節周囲炎である。この病気にならない人たちがいる。私もその一人だ。定期的に筋トレをして肩関節周辺の筋肉をトレーニングしているからだ。老いてくると体の至る所で筋肉痛が起き始める。老人にとって筋肉痛を抑える湿布薬が必須になる。

65歳になる私の体は定期的に筋トレをしていても体の関節部位が以前よりも硬くなってきているのが分かる。お風呂から出たら必ず体のストレッチをする。そのおかげで前屈で手のひらが床につく。体を柔軟にすることで転倒による怪我を回避できる恩恵がある。

老人は体を積極的に動かす事で健康寿命を伸ばす

60歳代、70歳代、80歳代と老いて来ると体を積極的に使う生活から遠ざかる。筋力が落ちて体を楽にする悪循環に陥る。体を動かさなくなると2つのデメリットが生まれる。

  1. 筋力が落ちる
  2. 体が硬くなり柔軟性が落ちる 

体を動かす習慣(定期的な運動習慣)がある老人は、認知症になる確率も減少する。認知症予防に運動は欠かせない。運動は脳神経を働かせるからだ。脳に刺激が伝わり、脳細胞を活性化させる。

40肩、50肩、60肩という病気の原因は、運動不足が原因!

肩関節を動かす事が減少すると肩関節周辺は固まり始める。それを急に動かそうとすると筋肉の伸縮が出来ず痛みを起こす。筋肉痛と同じだ。使っていない筋肉を必要以上に使うと翌日筋肉痛に襲われる。私たちの体は、生活習慣病で活動バターンが固定化される。そのパターンを外れる体の動きをすると体に痛みを起こす。

この現象は年齢が70歳を過ぎる頃に多くの高齢者が体の至る部位に湿布剤を貼る理由である。使わない筋肉が増えてきてちょっとそれらの筋肉を使っただけで筋肉痛に見舞われる。体の筋肉は老人になればなるほど使わないと自然に耐久性が落ちる。体を意識して使う生活習慣を身に着けないと湿布剤から逃れられなくなる。

体の柔軟性は、日頃から体を動かして硬くなった筋の伸縮機能を改善しなければ成り立たない。若い体と歳取った体では、筋肉の伸縮性機能で大きな違いがある。活発に体を動かして生活している若者は、体が色々な動きについていける。体が動きに慣れているからだ。体を活発に動かしていない老人は、体が色々な動きについていけていない。体が意図する動きに慣れていないため、筋肉に無理な負荷がかかる。それで筋肉痛に見舞われる。

高齢者の体は使わないと錆びつく

体は、毎日活発に使う事で錆びつかなくなる。若者はそれが自然に出来る。老人は老化現象で体を動かす事を積極的にやらない。普通の老人の生活は運動不足に成りがちになる。運動習慣を身に付けた老人の体は生き生きとしている。

65歳で週2回スポーツセンターのジムで筋トレをしている私でも老化で体が硬くなってきていることに気が付く。体の至る部位で硬さを感じる。正座をすると足の筋肉が痛くなる。足の開脚をしても広く開かない。筋が硬くなっているためだ。これは、その運動で使う筋を今まで使っていないため、体が慣れていない事が原因である。

体の柔軟性は、いつも使っていない筋や筋肉を使う運動を定期的に行う事で改善できる。年齢問わず、いつも使っていない筋肉中心に毎日運動を続ければ、固くなっている体の柔軟性は回復する。多くの高齢者が夏休みに子供のための「朝のラジオ体操」に参加する理由はそこにある。ラジオ体操は、使っていない筋肉を満遍なく使う運動で体を柔らかくする。ラジオ体操をする生活習慣がある老人は、体の柔軟性で問題を抱えないだろう。

50メートルダッシュをしたら

自宅近くの公園で1日おきに運動をしている。一つのメニューに50メートルダッシュがある。50メートルダッシュは思い切り50メートルを走ることであるが、子供の頃と違って走り方がぎこちなくなっている。50メートルダッシュを休みながら往復4回ぐらいやると両太ももの内側にある筋肉が痛くなる。学生の頃はそんな筋肉痛はなかった。

スポーツセンターのジムにあるランニングマシンでは軽いジョギングをするが筋肉痛は起こらない。50メートルダッシュでは普通のランニングと違って全力で走る。そのため、足の筋肉に普通以上の負荷が行く。私がなぜ50メートルダッシュをやり始めたのか。普通のランニングよりも足腰の筋肉と体のバランスを鍛えられると思ったからである。

使っていない足腰の筋肉を鍛えないと健康寿命につながらないと思って最近意識してやり始めている。65歳になって思いっきり走るという動作を数十年もやっていなかった。思い切り走るという動作に慣れるには何度もダッシュするしか無い。

結論

  • 筋肉の伸縮性が落ちてくると体が硬くなり易くなる。
  • 筋肉の伸縮性は、日頃良く使っているか、いないかで機能を維持できるか、出来ないかになる。
  • 体の柔軟性は、日頃から体を動かして硬くなった筋の伸縮機能を改善しなければ成り立たない。