高齢者市場とシニア労働者の増加が社会をどう変えるのか?

2030年に65歳以上の高齢者が日本の人口の3分の1を占めるという予測がある。横浜駅周辺をランチ時間に歩くと元気な老人たちがたくさん見かける。2030年には、10人歩いていたら3人が65歳以上の高齢者になる。人口の3分の1が高齢者という社会は、今の私達の生活にどの様なインパクトを起こすのだろうか。2030年まであと9年ある。

66歳の私は、75歳になる。65歳以上の高齢者人口の一人だ。

元気な65歳以上の高齢者が増えていくと高齢者向けのビジネスも増えてくる。高齢者専用のカフェが生まれてくるのではないか。高齢者お預かりサービスの看板が街中に目立ち始めるのでは。

元気な高齢者と介護が必要な老人が社会構造を変える

保育士と介護士が足りないという問題がある。この問題は、労働に対する報酬が釣り合っていないために起きている。どちらも人の命を取り扱う仕事だ。その仕事に対する政府の価値観が現在の報酬と労働環境に出ている。魅力的な職種であれば、保育士と介護士が足りないはずがない。保育士は、これからの活躍する子供の世話と見守りで育てる役割がある。これからの日本を背負う人間を取り扱う。

介護士は、一人で生活が出来ない老人たちの生活の世話と見守り役だ。介護される老人は生産的な仕事ができないので完全にコストセンターになるのだが、今までの日本を支えてきた人間だ。政府は、そんな老人の支援をなおざりにすればあとに続く国民が投票でNOと言い始める。困っている国民を見捨てる政府は存続できない。

働ける、働きたいシニアに仕事を!

元気な高齢者が多ければ、社会負担は少なくなり、働く仕事を提供するだけで労働力になる。生活に困るような高齢者を生活保護だけでは救えない。元気で普通の生活が出来る生活困窮高齢者ならば、その人達のための仕事を提供して生活費を稼げるようにしてあげれば良いだけなのだが、それが現在出来ていない。

経済的に問題がない高齢者の数よりも生活で困っている高齢者の数のほうがきっと多いはず。女性の高齢者が受給する年金額は少ない。その上、男性よりも長生きをする。生活困窮者は高齢な女性がどうしても多くなる。高齢の生活困窮者を支援する仕事環境が制度として生まれてくる。それは誰が考えても自然な流れである。

コロナ禍で会社が社員に副業や兼業を許すようになってきた。今までの環境ではそれが許されなかった。コロナの影響で労働環境が変わった。本社に出社せずに在宅やリモートオフィスで仕事ができるという事実を会社員も経営者側も気が付いた。本社ビルを売却したり、スペースを縮小したり、地方都市に引っ越ししたりする会社も増えてきた。

仕事環境が変わることでシニアにも仕事が生まれてくる。これから定年制度をなくす会社が増えてくる。シニアは仕事をやめたいときに辞められる。

元気なシニア市場

ビジネスは、経済的に余裕がある高齢者層をターゲットにして老人向けサービスが生まれてくる。街を歩く人の多くが高齢者になれば、お店はそんな高齢者向けのサービスや商品で溢れる。元気なおばあちゃんを楽しませるサービスも生まれるはずだ。パパ活ではなく、おばあちゃん活が流行語として生まれるだろう。孫の年齢のイケメンがおばあちゃんの遊び相手になるビジネスがきっと生まれるだろう。

高齢者向けの広告宣伝が今以上に新聞やテレビに出てくる。ネットでは、急激に増えていかないだろう。ネットを閲覧できる高齢者は少ないからだ。アナログの世界で高齢者にアクセスする活動がビジネス側で増加する。街には元気な老人たちが居場所を求めてさまよう姿が多くなる。

60歳以上のシニアは、映画鑑賞料金が1100円といったように年齢によるメリットが実生活の中で増えてくる。老人のお客を無視できない2030年になる。年齢的に一番消費する人たちは、20歳から35歳の若者たちだ。物欲が老人より強いからだ。今までのビジネスは、物欲を刺激する製品やサービスが多かったが、2030年は老人たちのニーズを満たす製品やサービスでないと高齢者市場を開拓できない。

介護市場で人手が足りない 

介護を必要とする高齢者は、経済的に恵まれていない。対象になる老人は大勢いるが、利益を出せるサービスにするには知恵が必要だろう。物であれば、コスト削減ができればビジネスとして成り立つが介護を必要とする老人が求めるのは人手だ。自分が出来ないことを代わりにやってくれる人手である。人手はコストの中で一番大きな負担だ。コスト削減をしようとすれば、人手が集まらない。

元気なシニアと学生を介護市場に投入する魅力的な行政プランが必要である。元気なシニアには介護施設で働くと老人ホームへの入居が優待されるとか。学生には学業の単位として認められ、公務員試験で優遇されるとか。何らかのプラス特典を売りにして介護市場にシニアと学生を呼び込む必要がある。

これからの社会は、北欧諸国のように学生に社会活動として介護施設での労働を義務付ける必要がある。同時に元気な老人が介護を必要とする老人の介護支援をする仕組みが求められる。今以上に老人が現実の社会の中に組み込まれる。老人の声が今まで以上に強くなる。

東京で身寄りがいない老人の孤独死が増えている。地域社会とのふれあいと交流を活発にしながら地域で高齢者を助け合う草の根活動が重要視される。

結論

  • 2030年には、10人歩いていたら3人が65歳以上の高齢者になる。人口の3分の1が高齢者という社会は、今の私達の生活にどの様なインパクトを起こすのだろうか。2030年まであと9年ある。
  • ビジネスは、経済的に余裕がある高齢者層をターゲットにして老人向けサービスが生まれてくる。
  • 元気なシニアが働ける環境を行政が積極的に作り出す。例えば、介護市場とか。